おすすめ本

子どもの世界をもう1度覗き見る:銀の匙

私立の小学校で、国語教育に活用しているとの話を聞き、手に取った。

忘れかけていた幼少期の記憶を想起させられた。

子どもの頃の私は、死んだタマムシを「コガネムシだ」と信じきって、宝物として、がま口の財布に入れて大事にしていたこと。

一人で寝るときに天井の木目が、動き出したり、奥の座敷に掛かっていたひいじいさんなどの肖像画が動き出すなどの、怖くて怖くて仕方なかった子どもながらの恐怖体験などなど、なんだか忘れてはいけないかけがえのない思い出のような気にもなってくる。

著者の幼少期のことが、なぜか共感できる点が多々あり、怖がりだけれど、好奇心旺盛な子供のありようが詳細に描写されている。

1つの物事に対して、細やかな表現をしながら、伝えたいことを伝えられる「言葉」というのは、やはり生きる上での生きやすさ、生きにくさという類のことに間違いなくつながるものだろうと感動した。
子どもにも読ませたいし、シンプルに面白い本。

銀の匙 岩波文庫 / 中勘助 【文庫】