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【笑って人類!太田光】未来を想うハートフルコメディ

爆笑問題太田光さんの「笑って人類!」は、各キャラクターが織りなす図太いストーリーで、とっても面白かったです!

読んでみて、ホットなうちに私の考察を記します。

※文章内には、ネタバレが含みますので、まだ読んでいない方は、ご注意ください。

まず読んだ方、読もうとしている方が、口々に言っているのは、分量の多さです。

原稿用紙1,200枚近くあるらしいです。

その分量を前に手が出なくなる方もいるかもしれませんが、難しい言い回しや同時進行で伏線が沢山仕掛けられているようなストーリーではないので、スラスラと読みやすい本でした。

私は語彙力がないこともあって、小説を読み出すと、だいたい知らない言い回しや難しい漢字が繰り返し出てきて、何度となく、検索しながら、読み進めていくので、めちゃくちゃ時間がかかるんです。

しかし、「笑って人類」は、そういったテクニカルな言い回しや難しい言葉は、極力使わずに書かれていると感じました。

なんせ、読破する中での語彙検索回数が10回程度で済んだからです。

それでも「多いでしょ」と思ったかもしれませんが、私は気になる言い回しとかも調べるタイプなんで、それで検索した文章もあったと思います。

参考までに、「有頂天家族」は、感覚ですが200回以上の検索を行って読了したと思います。

心に残ったこととして、①常に価値観は生ものであるべき、②周囲の評価だけでは真実は測れない、③誹謗中傷への警鐘、④笑われたって良いじゃない、といった点です。

常に価値観は生ものであるべき

最後のシーンで国際憲章にフロンティア合衆国が署名するんですが、その際に、違反している点があるのは、どういうメッセージなのか、どう受け止めれば良いのか、モヤモヤが残りました。

#どなたか考察してほしい

私なりの解釈は、何十億人の思惑をまとめ平和を作るには、矛盾とか嘘とか、それは現実には生まれるだろうし、リーダーになる者は、それを引き受ける覚悟が必要だというメッセージなのかなと思いました。

とはいえ、新たな国際憲章を作って、各国が署名をする初っ端から、ルール違反って、どう捉えれば良いんですか!?

物語であってメッセージなんか込めてないって言われたら、それまでですが(汗)

ある立場からみれば、正義だし、逆からみれば悪になる。

正しさとは何か、という価値観への柔軟性を持つことを投げかけられたものだろうと結論づけます。

さらに、人間に酷似したアンドロイド製造禁止令が続いて、10年後に真実が暴かれたとして、そのアンドロイドの功績によっては、世論も変わるよねってことなのかなと。

ルールの違反よりも、その引き換えに何を成し遂げたのか、の比重が大きくなれば、判断基準が変わってくるんだろうな~なんて思った次第です。

周囲の評価だけでは真実は測れない

主人公である富士見幸太郎という総理大臣の支持率は、めちゃくちゃ低いんです。

また、国民すべてがランク付けされていて、主人公である富士見幸太郎は最後まで国民ランクも支持率も低いままでしたが、富士見幸太郎は、固執したり、こだわりしていませんでした。

物語の途中で、富士見幸太郎の支持率は0%になった際には、声出して笑いました。

「支持率0%で、なんで総理大臣やねん!」とツッコまずには、いられませんでした。

やられましたっ!

国民ランキングや支持率は、周りからの評価であるが、その評価が真実を表現しているものではない。

ランキングが高いから良いとか、低いから悪いというものではない。

評価軸が他者になって、評価が高くなる立ち回りをするのではなく、自分が目指すべきことをすべきだし、自分に正直に生きようよ、というメッセージと受け取りましたね。

義父の富士見興蔵は、「リーダーは器、部下は能力」という言葉を残していた。

その考えで言えば、支持率という数字に振り回されるよりも、何を成し遂げるのか、思想を持っているのかということが、大事なんじゃないか、私たちにも置き換えられるのではないかな、と思う次第です。

周りの批判すらも飲み込むような人柄。それって太田さん!?

誹謗中傷への警鐘

近未来の話でもあって、グラスアイという眼鏡のような機械をつけると、そこにSNSのメッセージが表示され、世界中の人達とメッセージを送り合うこともできます。

世界中のSNSで使われる言葉を集約して、再生成して発信するAIが出現し、人類が大混乱となるんですが、誹謗中傷をしている人たちをバカにしたような描き方がされています。

そこも心に残った部分で、個々人が誹謗中傷した言葉が、再生成されて、また自分たちに返ってくるんです。

自分が貶したり、傷つけたりする言葉が、ただ返ってきているだけなのに、受け止める側になると、自分が言っているのと言われるのでは、発信と受け取り方が違ってしまう、その対比が印象的でした。

「死ね」とか「消えろ」とか言っていること、そういった言葉に覆われていく世界って、こういうことにもなりえるよねっていう警鐘にも感じて、サスペンスで面白かった。

笑われたって良いじゃない

泣きそうになった部分は、富士見幸太郎が、無謀なことをやろうとした際に、世間の笑い者にされてしまうと側近から忠告されるんですが、いつもダメダメな富士見が、「笑わせようが、笑われようが、どっちでも良いじゃないか」と意見するシーンが感動しました。

ただ、私個人としては、富士見幸太郎が、そういった発言をする性格に感じなくて、少し違和感がありました。

何となくですが、その「笑い」に対する想いは、作者である太田光さんが伝えたいものだったんじゃないかな~とか深読みしてみたりしました。

さらに、最初から最後まで煙草の箱のボケがあって、その一貫した、ブレないというか不器用とも言えるような、しつこい煙草のボケは、爆笑問題太田さんを思い出さずにはいられませんでした。

皆さんはどういった感想をお持ちでしょうか?

あれはこうじゃないとか、ああじゃないとか、言い合いたい衝動に駆られて、思いのままに書いてみました。

笑って人類! [ 太田 光 ]
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