福祉のこと

障害者雇用代行ビジネスの賛否:福祉の立場から

家族4人で寝坊して、4人がそれぞれ人のせいにしている朝を迎えました。

平和というものに、一石を投じます!

今回は、障害者雇用の雇用代行ビジネスについてです。

私は障害者支援において、2018年頃より貸農園と言われる場所で働く方々を支援し、その当事者、家族、関係者の声を聞いてきました。

社会的に賛否の分かれるビジネスモデルである雇用代行ビジネスについては、私は賛成の立ち位置です。

1.障害者雇用とは

事業主や自治体などが、障害のある人だけの特別な雇用枠「障害者雇用枠」で障害のある人を雇用すること。

障害のある人が障害のない人と同様に就職しようとしても、不利になってしまう場合がある。

そこで、障害のある人が働く機会を得やすくするために設けられているのが障害者雇用枠。

従業員の人数によって、何人の障害者を雇うかが決められている。

出典:障害者雇用対策 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

2.雇用代行ビジネスとは

貸す側の事業者は農園を管理し、そこで作業する障害者を借りる側の企業へ紹介、農園ごと障害者を貸すというスタイル。

借りる側の企業は、貸す側の事業者へ紹介料(1人40万~70万円)農園利用料(1区画月20万円ほど)を支払い農園の障害者に月11万~14万円程度の給料を与える。

また、一応の指導員が必要なためか、農園では高齢者などをパートで1人配置している。

出典:「障害者は農園で喜んで働いている」はずが…国会がNG出した障害者雇用“代用”ビジネス

3.企業側の実情

・雇用代行を利用することで、雇用に関する手間や管理負担を軽減できる。

・担当者が障害者雇用とは何か、障害者の状態像などを学ぶコストとハードルが高い。

・障害者雇用は取り組むべき課題の1つであり、最優先事項ではない。

・企業の状況や業種は多種多様である。

・どのように法定雇用率を達成するかの選択権は企業にある。

4.障害者側の実情

・障害者の就労支援施設の工賃は全国平均月額1万6千円程度。

・同じような仕事量と勤務時間数で、月14万円程度稼げる。

・大企業に所属できるというステータスが得られる。

・企業で働くとなると、単純作業はほとんどない。

・障害者の能力開発ができていない福祉側の課題がある。

・特別支援学校の進路においても、学校側も保護者側も就職できるなら、就職させたいという希望があるように感じられる。

5.福祉の立場から視るビジネスモデル

厚生労働省は批判的見解を持っているようだが、障害者雇用代行ビジネスが悪という発想で終わらせず、人が集まっている事実(利益を出している事実)に目を背けてはいけない。

福祉業界の人間が業界の風習に固執し過ぎるのではなく、ビジネスの視点、新たな考え方を持つことも必要ではないだろうか。
障害者雇用率の為だけに雇用の場を創出していることを批判する前に、LGBTQや高齢者にはなく、障害者だけが雇用率が設定されているという事実もある。

雇用率を設定されているが故に、数を合わせることが経営者にとっては利益とも捉えられること、制度設計が問題ではないかと考えてしまう。

とはいえ代行ビジネスでは、どこにも販売しない野菜を作る一律の業務内容であり、会社に所属してもらっているという事実だけで良いという点で、障害者が商品扱いされてる違和感はある。

当事者や家族からすれば、月給14万円を貰えるところに行く気持ちも分からないでもなく、それは選択の自由でもあるというのが、私の見解だ。

私の子どもや家族が重度の障害を持っていたとして、月2万円に満たない給料をもらうよりも、大企業に所属して月14万円程度、稼げる場所があるとしたなら、そちらを希望するだろう。

ただし、当事者の声を大事にして欲しい。

働く当事者がどう感じ、どう思うか。

働いてみてみて、「違うな」と思えば転職する。それ以上でもそれ以下でもない。

つくづく思うのは、障害者の支援も、綺麗事で片付けられる程、甘くないということ。

このビジネスモデルは1つの手段であり、常に改善と進化を続けるべきである。

ではまた。