いじめ

法的根拠を含めた【いじめへの対応方法】

今回はいじめへの対応方法について整理していこう

前回は、何をもって、「いじめ」とするかって話だったよね?

「いじめ」の疑いが発生した場合に何をすべきか、過去の反省すべき事案を通して学んでいこう!

法律上のいじめに対する学校の措置

8条 学校及び学校の教職員の責務
13条 学校いじめ防止基本方針
15条 学校におけるいじめの防止
16条 いじめの早期発見のための措置
18条2項 人材の確保及び資質の向上
19条 インターネットを通じて行われるいじめに対する対策の推進
22条 学校におけるいじめの防止等の対策のための組織
23条 いじめに対する措置
25条 校長及び教員による懲戒
28条 重大事態発生時の調査
30条 重大事態発生時の地方公共団体への報告義務
                           出典:いじめ防止対策推進法

いじめへの組織的な対応

22条 学校におけるいじめの防止等の対策のための組織
学校は、当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実行的に行うため、当該学校の複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者により構成されるいじめの防止等の対策のための組織を置くものとする。

23条 いじめに対する措置
1 学校の教職員、地方公共団体の職員その他の児童等からの相談に応じる者及び児童等の保護者は、児童等からいじめに係る相談を受けた場合において、いじめの事実があると思われるときは、いじめを受けたと思われる児童等が在籍する学校への通報その他の適切な措置をとるものとする。

2 学校は、前項の規定による通報を受けたときその他当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、速やかに、当該児童等に係るいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとともに、その結果を当該学校の設置者に報告するものとする。

3 学校は、前項の規定による事実の確認によりいじめがあったことが確認された場合には、いじめをやめさせ、及びその再発を防止するため、当該学校の複数の教職員によって、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者の協力を得つつ、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援及びいじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言を継続的に行うものとする。

出典:いじめ防止対策推進法

いじめへの対応

個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は,表面的・形式的にすることなく,いじめられた児童生徒の立場に立つことが必要である。
この際,いじめには,多様な態様があることに鑑み,法の対象となるいじめに該当するか否かを判断するに当たり,「心身の苦痛を感じているもの」との要件が限定して解釈されることのないよう努めることが必要である。
なお,いじめの認知は,特定の教職員のみによることなく,法第22条の学校いじめ対策組織を活用して行う。

出典:いじめの防止等のための基本的な方針(文部科学省:平成29年3月14日改訂)

法22条 学校いじめ対策組織に求められていること

・未然防止
いじめが起きにくい、許さない環境づくり
実情に即した学校いじめ防止基本方針(法13条)の見直し

・早期発見、事案対処
そのために情報を集約させて複数の目をチェック

※いずれも教職員から適切に情報が集まることが重要

「いじめ防止対策推進法」と「いじめの防止等のための基本的な方針」が目指すもの

・いじめ「かもしれない」を広く拾い上げる
・いじめの情報を学校いじめ対策組織に集約させる
・複数の者(教職員に限らない)で問題に取り組む

いじめに対して早期に力を結集して取り組む!

組織的な対応とは言えないケース

X中では、教員が「いじめ」だと考えても、その時点で学校いじめ対策組織で対応するわけではなく、基本的にその学年を担当する教員で対応して加害者等への指導など、すべての対応が終わった段階で、学校いじめ対策組織に報告されるというのが実情になっていた。これはいじめへの対応が実質的に学年に所属している教員個人の経験頼みになっているも同然であり、組織的対応とは真逆の実態であった。
しかも、担任の対応について同じ学年を担当する他の教員が助言する程度の関係であり、結局のところ、いじめ対応は教員個人に丸投げというべき実態であった。
出典:旭川市いじめの重大事態に係る調査報告書

いじめ防止対策組織が機能していないケース

本校では、平成26年4月に「学校いじめ防止基本方針」が策定され、同方針に基づき、校長、教頭、生徒指導部長、学年主任、教育相談担当教諭、養護教諭、スクールカウンセラーで構成する「いじめ対策委員会」が設置されているが、同方針の年間計画で定められているアンケート調査やいじめ防止対策会議等の活動は事件発生まで行われておらず、同委員会はほとんど機能していなかった。

教職員の間では、自己の直接の受け持ち範囲を超えて他の教職員に意見や介入することは控えるべきとの傾向がみられ、組織的対応につながりにくい風土となっていた。

出典:福島県いじめ問題調査委員会調査結果報告の概要