今回は、不登校の理解と支援について、家族・支援者、双方の立場で考えていきます。
不登校とは
文部科学省による定義では、不登校とは「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくてもできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いた者」とのことです。
欠席が年間30日未満ならば、不登校にはなりません。
また、病気で入院中、家族がリストラにあって学費が用意できなくなったというような理由で学校に行けない場合も不登校ではありません。
不登校推移
具体的な数字を見ると、不登校の子どもたちの数は近年増加傾向にあり、多くの家庭がこの問題に直面しています。
出典:令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
不登校の分類
不登校の原因は一つではありません。
専門家・山登敬之氏による分類によれば
①身体的疾患を持つもの
②精神病や発達障害が疑われるもの
③神経症様の症状を示すもの
以上の3つに分類されます。
思春期の対話の重要性
対話は、顔を合わせ、言葉を交わすコミュニケーションの形です。
思春期の子どもたちは、成長の過程で多くの問題や感情に直面します。
この時、家庭や学校での「対話」の不足や欠如が問題をこじらせる要因となります。
例えば、子どもが学校での人間関係に悩んでいるとき、親が「そんなことで悩むな」と一方的に決めつけたり、自らの経験を押し付けるのは、対話とは言えません。
これはむしろ「独り言」といえるでしょう。
こうした一方的な言葉のやり取りは、子どもの心を閉ざす原因となります。
治療的対話は、この「独り言」を真の「対話」に変えることを目指します。
開かれた対話は、子どもの不安を取り除き、信頼感を増し、気持ちを活性化する力があります。
また、思春期以降の子どもは言ってくれないこと、語ってくれないことを念頭におく必要があり、関係性を築くことに注力すべきです。
不登校への基本的対応
目標の設定
再登校を急ぐのではなく、「この子がどうすれば元気になるか」を最優先の目標としましょう。
具体的な方法としては、十分な休養を保証し、子どもの症状や心情について対話を重ねることが大切です。
本人の意向の尊重
子どもには「拒否権」があります。
強制的に学校に行かせるのではなく、子ども自身が進むべき方向を選べるまで、適切な距離を保ちながら見守る姿勢が求められます。
支援者側の不安を優先しないことも重要です。
家族の基本的対応
家族の心構え
家庭内での関係構築は、子どもが安心して過ごせる環境作りから始めます。
親の間では、一致団結すること、金銭面での一定額の管理、そして暴力を絶対に受け入れないことが大切です。
また、「怠け」「甘え」といった言葉は使用を避けるようにしましょう。
対応のポイント
お金は子どもの社会参加の手段として有効です。
しかし、お金がない状態が続くと、その生活に適応してしまう可能性があります。
適切な金銭の管理と、それを伴うコミュニケーションが必要です。
家庭内暴力への対応
家庭内暴力は深刻な問題です。
初期の段階では、対話を心がけることで、慢性化を防ぐことができます。
しかし、慢性期になると、家庭が密室化し、問題が拡大する可能性が高まります。
このような状態を防ぐためには、第三者や警察の介入、必要に応じての避難が考えられます。
暴力に関して伝える際、言葉遣いには注意が必要です。
「暴力は嫌」と伝えるのが良い方法とされています。
具体的な行動としては、暴力に対する事前の予告、暴力が発生した際の通報や避難などが挙げられます。
まとめ
不登校は多様な背景や原因を持つ問題です。
家庭や学校、社会全体での対話や関係性の構築、子どもの意向の尊重などが必要です。
暴力や家庭の問題に対しては、適切な対応と予防が求められます。
地域には様々な相談窓口や専門家が配置されてきています。
当事者からすれば、活用できる資源が増えており、支援者から見れば、実践の場が広がってきています。
それでは次の記事まで。