福祉のこと

集団精神療法の基本と視点

集団精神療法とは

集団精神療法は、言葉を用いて集団を対象に行われる治療の一形態であり、家族や仲間、同僚などの集団に対する理解を深めるとともに、その中での自身の位置や関係性を見つめ直すことにつながります。

集団の特性

集団になると、他者との共通点や相違点を見出し、一体感や仲間外れなどの感情を経験します。

共通点

・承認の求め

・一体感

・集団圧力

相違点

・模倣

・利点の確認

・仲間外れや内輪揉め

集団精神療法の要素

集団精神療法には、バウンダリー(境界)、メンバーシップ、時間や場所の明確化、そしてコンダクターとメンバーの関係性が重要です。

バウンダリー

・患者と治療者の安心感を与える枠組み

メンバーシップ

・グループの一員であることの実感

コンダクターとメンバーの関係

・決められた時間や場所でのセッション参加

セラピストの役割

セラピストはグループのバランスやメンバーの感情を適切にコントロールすることが求められます。

運営機能

・バウンダリーや感情の調整

思いやり

・メンバーの幸福や治療効果の確認

情動的刺激

・感情や価値観の表現の促進

意味帰属

・メンバーの言動の意味の把握

療法的因子

Irvin D. Yalomによれば、集団精神療法には以下のような治療的因子があります。

1.希望の提供

2.普遍性

3.情報伝達

4.愛他主義

5.初期家族関係の修正的な繰り返し

6.ソーシャルスキルの発達

7.模倣行動

8.対人学習

9.グループの凝集性

10.カタルシス

11.実存的因子

セッションの流れ

集団精神療法のセッションは、コンダクターの開会宣言から始まり、終了時の連絡事項伝達とコンダクターの終了宣言で終わります。

セッションの流れ

・コンダクターの開会宣言

・メンバーの話し合い

・スタッフの連絡事項伝達

・コンダクターの終了宣言

グループの展開

グループの展開は、形成期から分離期にかけてのプロセスであり、各ステージで異なるダイナミクスが生じます。

形成期

メンバーが集団に慣れる期間

動乱期

情緒的な関わりが始まる期間

活動期

グループ行動の規範が確立される期間

遂行期

相互援助が行われる期間

分離期

終了に向けての悲しみや不安が生じる期間

基底想定グループ

痛みを伴う課題を避けるためにグループがもつ無意識の想定(抵抗)。

依存基底想定

グループが未熟で他者の援助がなければ何もできない。そして、他者が全知全能であると信じる。

Ex.「何をすればいいのか」と繰り返し指示を求める

闘争・逃走基底想定

グループの内部または外部に「敵」が存在するので、その対象と戦うか、避けるしかないと信じる。

Ex.「コンダクターは何もしてくれないから、われわれで楽しくやろう」

つがい基底想定

グループの二人のメンバーが中心的役割をもち、他のメンバーはそれを見守る。

まとめ

これにより、集団精神療法は一人ひとりの患者に対してだけでなく、グループ全体に対してもポジティブな影響を与えることができます。

治療的なグループへの関わりによって、集団の中で自分の位置を見つめ、他者との関わりを通じて新たな気づきや学びを得られます。

それでは次の記事まで。